福島第一・第二原子力発電所の事故により被害を受けられた方々にお支払する賠償金に関する所得税法上の取扱いについて -国税庁-
今般の福島第一原発・第二原子力発電所の事故により被害を受けられた方々に対して、現在、被害の状況に応じて賠償金の支払いが行われている。その賠償金を受けた場合の所得税の課税関係は下記のようになっている。
(避難対象者への賠償金)
避難生活等による精神的損害、避難・帰宅費用、一時立入費用、生命・身体的損害、検査費用(人)、家事用の資産に係る検査費用(物)として支払われる賠償金については、非課税所得に該当し、所得税の課税関係は生じない。
就労不能損害として支払われる賠償金のうち、給与等の減収分に対する賠償金(転居費用及び通勤費増加額としてお支払する部分を除いたもの)については、一時所得に係る収入金額となる。
(個人事業に対する賠償金)
営業損害、業務用の資産又は棚卸資産に係る検査費用(物)として支払われる賠償金については、事業所得等に係る収入金額となる。
上記の場合において、事業所得等に係る収入金額として算入すべき時期は、一般的には、被害を受けられた方が賠償金の支払に関する合意書を東京電力あて送付したことにより、東京電力との間で合意が成立したときとなるが、継続して、その補償対象期間に応じそれぞれの年分の事業所得等に係る収入金額に算入し、これに基づいて申告しても、差し支えない。
上記課税関係の理由としては次の規定が挙げられる。
《損害賠償金に係る所得税法の規定》
所得税法上、損害賠償金のうち次のものは非課税とされている(所法9十七、所令30一、二)。
(イ) 心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事すること ができなかったことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)
(ロ) 不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金
一方、損害賠償金であっても、次のものは非課税所得に該当せず、事業所得等の収入金額に算入することとされている(所令30本文かっこ書、94)。
(イ) 業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止その他の事由によりその業務の収益の補償として取得する補償金
(ロ) 棚卸資産等につき損失を受けたことにより取得する損害賠償金
(ハ) 各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額をするためのもの
参考資料
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/111130/besshi.htm#besshi2