役員に対して支払われる「保証料」の取扱い
会社が金融機関等から借入れを行う際に、役員が連帯保証人となったり、役員個人が所有する不動産に抵当権を設定することがあります。その債務保証の対価として役員に対して「保証料」を支払った場合には、その保証料は法人税の課税所得の計算上、損金として計上することが認められます。ここで注意しなければならないのは、適正な保証料を設定することです。保証料金額が適正ではなく過大だと認定された場合には、役員賞与として取り扱われることになるためです。
適正な保証料の設定にあたっては、合理性のある基準を拠り所とする必要があります。裁判例では、営利を目的とする民間の保証会社の保証料を参考に決定することには合理性が無く、信用保証協会が設定する保証料を参考に決定した保証料率が適正利率としての合理性があるという判断がなされています(平成12年11月27日宮崎地裁判決)。そのため、信用保証協会が設定した保証料率を基準に設定するのが実務上有効であると考えられます。なお信用保証協会の保証料率には、「責任共有保証料率」と「責任共有外保証料率」がありますが、今回のケースでは「責任共有外保証率」を参考にすることになります。
一方、役員側の取扱いについては、受け取った保証料は役員個人の「雑所得」として所得税の課税対象となります。しかし、役員個人の税負担を考慮して、あえて保証料として支払うことをせずに、債務保証のリスク負担を役員給与額を決定する一つの要因として、役員給与の金額の中に含めて支払うという方法を選択することもできます。ただし、この場合には定期同額給与の問題に注意を払う必要があります。定期同額給与に該当しなければ、法人税の所得の計算上損金に算入することができないので、保証料を考慮して役員給与の金額を決定する場合には、期間途中での増額改定は認められないことに注意が必要です。