上場株式等の「みなし取得費」制度の廃止
上場株式等の譲渡所得計算において設けられている「みなし取得費」制度が、平成22年12月31日をもって廃止されます。
「みなし取得費」制度とは、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等(同年10月1日おいて上場株式等に該当していたものに限り、一定のものを除く。)を平成22年12月31日までの間に譲渡した場合に、その譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費を、所得税法の規定にかかわらず、その上場株式等の平成13年10月1日における価額の80%に相当する金額とすることができる制度です(措法37の11の2)。
証券会社で一般口座を利用している人は、銘柄によっては、年末までに売却した方が有利な場合(下記計算例参照)もあるため、一般口座で管理している株式等の「みなし取得費」を再確認しておきましょう。
なお、特定口座を利用している人で、上場株式等を特定口座へ入庫する際に「みなし取得費」を適用している場合には、その上場株式等の取得価額は「みなし取得費」に固定されます。したがって、平成23年以降に売却した場合であっても従来通り「みなし取得費」が適用されることになります。
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<計算例:花王(東証第1部上場)>
*平成13年10月1日の株価:3,020円
→ みなし取得費 3,020円×80%=2,416円
*実際の取得価額は不明とし、売買手数料は考慮していない。
【ケース1】平成22年8月20日に終値2,040円で売却した場合
2,040円-2,416円=△376円(3年間、損失の繰越控除が可能)
【ケース2】平成23年以降に【ケース1】と同額の2,040円で売却した場合
2,040円-2,040円×5%=1,938円(譲渡益課税)