執行役員への就任時に支給する一時金について
執行役員に就任する社員に対し、執行役員就任前の一般社員としての勤続期間分について退職金として一時金を支給した場合は、税務上どのように取り扱うのでしょうか。
執行役員は役員という名称が付されていますが、会社法上は役員ではありません。会社によって執行役員の位置づけは様々ですが、一般的には役員と使用人の中間的な立場となっている場合が多いと思われます。
通達では、使用人からいわゆる執行役員に就任した者に、その就任前の勤続期間に係る退職手当等として一時に支払われる給与(当該給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上当該給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものに限る。)のうち、例えば、次のような執行役員制度の下で支払われるものについては、退職手当等に該当するとされています(所基通30-2の2)。
(1) 執行役員との契約は、委任契約又はこれに類するもの(雇用契約又はこれに類するものは含まない。)であり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと
(2) 執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであり、執行役員は、その任務に反する行為又は執行役員に関する規程に反する行為により使用者に生じた損害について賠償する責任を負うこと
また、上記以外の執行役員制度の下で支払われるものであっても、個々の内容から判断して、使用人から執行役員への就任につき、勤務関係の性質や内容、労働条件等に重大な変動があり、実質的に単なる従前の勤務関係の延長とみられないなど、特別の事実関係があると認められる場合には、退職手当等に該当することが示されています。
したがって、執行役員から取締役へ就任する場合に支給される一時金は、執行役員制度が通達に定める要件を満たす限り、原則として退職所得として取り扱うこととなります。