平成22年度税制改正における自己株式の取得に関する取扱い
平成22年度税制改正では、自己株式の取得に関する税務上の取扱いについて重要な改正が行われています。これは現行制度では、株式の譲渡損失の損金算入と受取配当等(みなし配当)の益金不算入制度が認められており、作為的に損失を計上できることからその防止策と見られます。その内容を紹介させて頂きます。
・100%グループ内での白己株式の取得・・・譲渡損益の取扱
<内容>
100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する等の場合には、譲渡対価を譲渡原価に相当する金額とすることにより、その譲渡損益を計上しないこととされました(改正法法61の2⑩)。
<適用開始>
平成22年10月1日以後に法人が自己株式の取得等の事由により、金銭その他の資産の交付を受けた場合に適用されます。
・100%グループでない法人間の自己株式の取得・・・みなし配当の取扱
<内容>
自己株式として取得されることを予定して取得した株式が、自己株式として取得された際に生じるみなし配当については、益金不算入制度を適用しないこととされました(改正法法23③)。ただし、みなし配当が「その予定されていた事由に起因するもの」かどうかについては政令に委ねられていますので、内容について注意が必要です。
<適用開始>
平成22年10月1日以後に開始する法人の事業年度の所得に対する法人税に適用されます。
・抱合株式
<内容>
合併法人株式以外の資産が交付される非適格合併となる場合に、被合併法人の株主でもある合併法人において計上される抱合株式の譲渡益・譲渡損を計上しないこととされました(改正法法61の2③)。ただしこの改正に関しては、適用範囲が100%グループ内外で区別されていませんので、注意が必要です。
<適用開始>
平成22年10月1日以後に合併が行われる場合における法人の各事業年度の所得に対する法人税について適用されます。